ふと目を覚ますと人の後ろ姿が見えた。
隣のリビングが少し明るくなって、その灯りを持ったまま寝室に入ってきたものだから、携帯のライトだってすぐにわかった。
寝室でしばらくガサガサ動いていて、膝をつき、私が寝ているベッドのマットがぐっと押される感覚がした。
私の顔を覗き込んでいるような気配・・・。
起きているかどうか確かめているのかな。
布団に横たわると、
何か動画らしきものを見ていた。
薄目を空けてどんな動画を確認しているのか目を凝らしたが、特に怪しそうではなかった。
「んん~!」
と背伸びをすると、夫は携帯の灯りをさっと消した。
・・・怪しい・・・。
私が寝ているかどうか確認しているらしき動作もあったし、私が起きていたら何かまずいことでもしようとしていたのかもしれない・・・。
しばらく寝ないで気配を窺おうとしていると、夫が突然体を起こしてベッドの足元の方でガサガサ動いている。
また私の顔を覗き込んでいる。
久しぶりに胸がどきどきしてきた。
何か私に見られたらまずいことをしようとしているに違いない!
そうだ、最近平和ボケしてきて、自立の準備がなあなあになっていた。
もっとシャープに頑張らないと!
って思った。
夫は布団に横になった。
私の目はランランとしていたけど、静かに目を閉じて寝ているふりをした。
寝ているふりをし続けたら、そのうち夫が化けの皮をはがすかもしれない。
必ずそれを見届けようと思った。
・・・が、
スース―寝息を立てて、寝始めた。
寝たふりかと思ってしばらく気配を探ったが、寝ているっぽかった。
私も寝た。
23時から24時頃の出来事だった。
次男の「うんち!」
「ママ、うんち!」
という言葉で目を覚ました。
次男は横たわったまま声を上げていた。
「出たの?」
「まだ。」
夜中にトイレに行きたがることは珍しい。
トイレに連れていき、
また寝かせた。
3時過ぎだった。
夫の昨夜の行動は、ただ寝ようとしている直前の行動で、足元でガサガサうごめいていたのは、電気毛布のスイッチを操作していただけかもしれないって思った。
でも私が寝ているかどうか確かめるような行動は、なんだったのか。
私は夫の金銭トラブルを忘れていない。
私が寝ている間にろくでもないことが起きたことがある。
とにかく私は夫に対して油断しないでおこう。
最近緊張感が抜けていたからね。
もっと自立の準備を進めなきゃ。
自立のための準備は、人生がどう転んでも役に立つ。
・・・とりあえず、
夜中に二度も起こされて眠い。
早起きの私も、自分の意志外で二度も起こされるのは辛いよ。
ああ、今眠い。